公開日2015/11/30
公開日2015/11/30
情緒ある町家の中には、貴重な宿泊体験ができるスポットがあります。
暮らすように過ごしてみてこそ見えてくる倉敷とは? その魅力をレポートします。
倉敷市には美観地区だけでなく、いくつかの魅力的なエリアがあります。今日は車をレンタルして、あちこち回ってみる事に。せっかく自炊ができる町家に泊まっているので、遠出するついでに地元の食材探しをしてみることにしました。
「倉敷の魅力は美観地区だけじゃないんですよ」と管理人の山田さんに教えてもらい、少し遠出することに。倉敷市内の南側には、繊維の町として栄えた児島地区やコンビナートで有名な水島地区、古くから港町として発展してきた玉島地区があり、北側には豊かな食の恵みをもたらす里山が広がる船穂地区、真備地区もあります。どのエリアもそれぞれ産業、農業などに個性を持っています。せっかく自炊ができる町家に泊まっているので、遠出するついでに地元の食材探しをしてみることにしました。観光以外の倉敷の素顔を巡る一日の始まりです。移動の手段は車。それも話題の電気自動車で、水島の工場で作られているそうです。「クラクル(KURAKURU)」と名付けられたこのレンタル自動車は、「スマートシェア倶楽部・倉敷」が、倉敷をもっと楽しんでほしいとはじめたもの。倉敷アイビースクエア入り口の駐車場にあり、レンタル料4時間2000円とお手ごろで、気軽に車であちこちめぐることができそうです。手続きを済ませたら、一路、児島へ向かいます。
快適なドライブを経て、倉敷美観地区から30kmほど南に位置する児島に到着しました。ここは、穏やかな瀬戸内海が広がる港町で、ジーンズの町としても有名です。車を降りると、ふわりと潮風が鼻をくすぐり、港町にやってきたことを実感。まずは、瀬戸内海のクルージングを楽しむことにしました。遊覧船に乗り込んだら、いよいよ瀬戸内海へ。
所要約1時間のクルージングは、瀬戸大橋を下から見上げる大迫力の景観がハイライト。心地よい海風を感じながら点在する島々を眺めていると、漁師さんの乗った漁船とすれ違うことも。古くから漁業が盛んなこの町ならではの光景に、暮らしの一片を垣間見たようでした。昨日とは全く異なる港町の風情や景色を満喫した後も、しばらく港周辺を散策してみました。
続いて目指したのは、遊覧船乗り場のそばにある、県漁連が営む直売所「ふゅ~ちぁ~」。今晩、宿で自炊をするために、倉敷の豊かな風土が育んだ農作物や海の幸、山の幸など、おいしいものを探しに店内へ入ると、その日の朝に水揚げされた鮮魚はもちろん、地元の特産品がずらり。せっかくなので、海鮮を使った鍋をすることにしました!「鍋におすすめなんはこれ。瀬戸内海でとれた新鮮モンじゃ」と、見せてくれたのは、大きくて立派な鯛。その場でさばいてくれたり、おいしい食べ方を教えてもらえるのも港町ならでは。今夜の夕食は、今から格別の予感がします。
買い物を楽しんだあとは、伝統文化にふれる体験を。藍染体験ができる「藍畑」は、バンダナ、スカーフなどを染める体験ができる施設。初の国産ジーンズが生まれ、今や世界からもその品質が認められている繊維の町・児島で、デニムを染める本物の「青」=「ジャパンブルー」を感じてほしいとスタートしたといいます。職人による手仕事の文化にふれながら、本格的な染色体験を楽しんできました。
模様を決め、白く残したい場所に板を置き、プレスで固定。何度も何度も色を重ねて青く染めていきます。夢中になっていると、「本藍染の奥深さ、おもしろさを体感できましたか?」と講師であり職人の三宅さん。繰り返すほどに深まる「青」の色は、くっきりと記憶に残るほど鮮やかでした。
天領として古くから物資や資源に恵まれてきた倉敷は、ジーンズ産業以外も、物づくりの産業や手仕事が発展し、今も受け継がれています。民藝の精神を引き継ぐ「倉敷ガラス」や繊維産業とともに発展した「倉敷帆布」など、種類もさまざま。倉敷が誇る文化として、特産品として、多くの人に魅力を発信しています。