公開日2017/02/9
公開日2017/02/9
玉島は、江戸時代に北前船の発着港や備中松山藩の外港として繁栄した港町で、昭和に入ってからも港周辺の商店街は大変にぎわっていました。
しかし、「近年は、高齢化によって人口が減少し、町の中心地が新倉敷駅周辺に移ったことなどにより、商店街は衰退してきました」と、倉敷市地域おこし協力隊の田中健太さんは話します。
そんな状況を憂う玉島の各商店街の店主たちは、玉島商工会議所や倉敷市とともに、2014年9月に「にぎわう昭和のまち玉島実行委員会」を結成しました。
そして同年11月、「昭和の頃のにぎわいを取り戻し、玉島の町をもう一時盛り上げたい」と、古きよき昭和の雰囲気が色濃く残る商店街で「備中玉島 みなと朝市」を始めたのです。
開催エリアは、5つある玉島の商店街の中で最も古い、通町1丁目商店街が中心。昭和時代にタイムスリップしたかのような通りに、10〜15店が出店し、通りの商店や飲食店も朝市に合わせて店を開きます。
玉島生まれのソースや老舗の醤油、味噌、ひしおといった各種調味料、この地の学校の給食パンも手がける店のパン、玉島だるまなど、通町1丁目商店街以外からも玉島の逸品が集結します。
また、「高梁川流域の地域資源を活用することで、流域の活性化につながれば」と、井原市芳井町の新鮮野菜や、猟師がしとめた「しし肉」の串焼きなどもそろえています。
そのほか、商店街のステージではアコースティックな「通町てまりLIVE」が開催され、季節の行事などに合わせたイベントも月ごとに用意されます。
玉島では、江戸時代後期に建立された高運寺から、地主や富裕商人を中心に茶の湯が広まり、独自の茶道文化が花開きました。
そうしてこの地に根付いた茶の湯文化を、老舗菓子店の季節の和菓子とともに楽しめるお茶席が、朝市の一角で毎回開催されています。
また、朝市の帰りには、偶数月に朝市の会場となる清心町商店街や、玉島の中心にある小高い山に鎮座する羽黒神社とその裾野にある栄町商店街や銀座商店街、江戸時代の問屋街の面影が残る街並みなどを、のんびりと散策するのもおすすめです。