公開日2024/02/22
公開日2024/02/22
6次産業化とは、1次産業(農林漁業)の事業者が、2次産業(製造業)・3次産業(小売業など)の事業も行い、生産物の価値をさらに高める取り組みです。そして「すでに6次産業化に取り組んでいる生産者が、そのノウハウや設備を生かして、一歩を踏み出そうとしている生産者とタッグを組み、新たな6次産業化を実現する仕組み」。それを「ネオ6次産業化」として、システム構築に取り組んでいる企業が、ここ倉敷市にあるのをご存知ですか。
1913年創業の『のだ初』は、鶏卵の生産・販売を中心に、卵専門店や親鶏の炭火焼実演販売などを運営している「ニワトリカンパニー」です。2012年に4代目社長となった野田裕一朗さんはこれまで、卵に対する正しい知識を普及するためのイベントを開催しながら自転車で日本縦断したり、学童軟式野球大会を主催して子どもたちや保護者らに卵かけご飯を振る舞ったりと、さまざまなことに挑戦してきました。
そんな野田さんが6次産業化への道を歩み始めたのは、営業を担当していた20年ほど前のことです。「当時は卵の生産農場とパッキングする工場があるだけでした。消費者の方たちと直接話す機会はなかったので、ある時いただいた『新鮮でおいしい卵をいつもありがとう』というお褒めのハガキが最高にうれしくて、もっとお客さんと触れ合える場がほしいと思い始めたのです」。
早速、野田さんは卵の直売所の企画を提案しました。しかし当時は6次産業化という言葉すらなかった時代。社内で大反対され、その時は実現には至りませんでした。
それでも諦めることなく思いを温め続けた野田さんは、全国の生産者が開設している直売所を見て回るうちに「卵のあらゆる楽しみ方を提案する店にしたらうまくいくんじゃないか」と考えるようになったといいます。
やがて2005年、前年に発生した鳥インフルエンザへの危機感から企画が認められ、卵専門店の『うぶこっこ家』をオープンしました。当店では、産卵から24時間以内の卵はもちろん、卵をたっぷり用いて作るスイーツや鶏肉を加工した惣菜などを販売し、イートインスペースでは卵かけご飯やオムライス、親子丼といった料理も提供。ランチタイムには満席となる日も多い人気店となっています。
また、2014年には「もっと卵を生で食べてほしい」と、卵かけご飯専用醤油「ぶったまごはん醤油」を発売。評判となり、その後、幅広い年代に好まれるカレー味とピリ辛好きに向けた赤唐辛子味も開発しました。
「人口が減少している中、一人当たりの卵の消費量拡大は業界のテーマです。懐かしい食べ方を思い出してもらうことが、その一助になればとも考えています」と、野田さんは話します。
そして2019年、リサイクル企業『立龍美掃』との出会いが、新たな6次産業化への取り組みへとつながっていきます。