公開日2025/02/6

特集59 くらし・き・になるエリアプラットフォーム 特集59 くらし・き・になるエリアプラットフォーム

倉敷のまちの歴史的な遺産を活かしながら、公民学が連携して持続可能なまちづくりを進める組織『くらし・き・になるエリアプラットフォーム』。発足の経緯や活動内容などをうかがいました。

Chapter1 歴史的町並みを守り活かしながら
倉敷の未来を皆でデザインする

 かつて江戸幕府の直轄地、いわゆる「天領」となり、物資の集積地として栄えた倉敷。往時の面影を伝える蔵や町家が建ち並ぶ町並みは「倉敷美観地区(以下、美観地区)」として広く親しまれ、重要伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)にも選定。江戸、明治、大正、昭和と多様な時代の建物が混在した歴史的町並みには今も多くの人々が暮らし、文化が受け継がれています。
 その一方、町並み保存の枠組みがない美観地区の周辺地域では2000年以降、空き家となった町家が次々と壊され、マンションや駐車場へと置き換わり景観が大きく変化。それに危機感をもった地域住民が組織を立ち上げ、15年以上も町家再生に取り組んでいるものの、「未来ビジョンや問題意識」を多くの人と共有できていないという課題がありました。

歴史的町並み
歴史的町並み
歴史的町並み
歴史的町並み

 「共有を図るためには、皆で語り合えるオープンな場が必要だと常々考えていました」と話すのは、同エリアプラットフォームの委員であり、ノートルダム清心女子大学准教授でもある成清仁士さん。「そんな意識の高まりのなか、国の支援事業『官民連携まちなか再生推進事業(エリアプラットフォーム活動支援事業)』(※注釈1)の存在を知りました。

※注釈1
官民が連携して、理想とするまちづくりの実現に向けた自立・自走システムの構築を、国が支援する事業。2020年から開始された。

成清仁士さん
成清仁士さん

 事業が採択された2022年度には、美観地区とその周辺に関わりのある住民や事業者、金融機関、商店街、教育機関など、まちづくりに関わる多くの人と団体を巻き込んで『くらし・き・になるミーティング』を開催。倉敷の未来のあるべき姿や機能の検討を深めました。そして2023年6月、同ミーティング参加者をメンバーに迎えたまちづくり組織『くらし・き・になるエリアプラットフォーム』を設立したんです」。
 名称は「暮らし 気になる」「倉敷になる」を掛け合わせたもの。住民や事業者、教育機関、行政など、多様な立場の人たちが「倉敷が気になる」という思いで連携し、地域全体でまちづくりを推進する組織が『くらし・き・になるエリアプラットフォーム』なのです。

くらし・き・になるミーティング
くらし・き・になるミーティング
くらし・き・になるミーティング
くらし・き・になるミーティング

 「私たちが描くまちづくりの対象エリアは、美観地区とその周辺の中心市街地。これだけ『面』で古くからの町並みが残っているのは、全国的にも珍しいといえるでしょう。そこには、地元の木材を使って地元の人が作った町家が残り、観光地であると同時に、今も人々の暮らしと文化が息づく場でもあるのです」。そう話すのは、同エリアプラットフォームの代表であり、NPO法人倉敷町家トラストの代表も務める中村泰典さん。また、誰もが気軽に参画できる組織にしたいとの思いから、会員条件は「美観地区とその周辺の中心市街地のまちづくり、暮らし、商い、学びなどに関心のある人」の一点です。

中村泰典さん
美観地区
美観地区
美観地区

 「その結果、まちづくりに参加する機会のなかった個人や若者といった多様な人材が少しずつ集まるようになりました」と話すのは、同エリアプラットフォーム事務局長であり、倉敷市まちづくり推進課の桑田恭兵さん。様々な人が参加してくれるようになるにつれ、エリアプラットフォームとしての関心・得意分野の幅も広がるように。そこで全体に関わる議論だけでなく、「磨く」「創る」「暮らす」「商う」「学ぶ」「楽しむ」の6つのテーマ別にチームを設置。さまざまな視点からエリアを検討できる体制を構成。目指すべき3つのビジョン(※下図参照)に向けて、まちづくりを推進しています。

桑田恭兵さん
6つのテーマ
エリアプラットフォーム
エリアプラットフォーム
3つのビジョン

他にもこんな特集があります。

  • 特集 vol.24 クラシキの古民家カフェ
  • 特集vol.50 クラシキ インスタ映えスポット
  • 特集 Vol.33 倉敷メイドの逸品が生まれる。モノ作りの現場へ 5

HOMEに戻る

クラシキ文華(文化 - ブンカ)

倉敷市 市長公室 くらしき情報発信課
〒710-8565 岡山県倉敷市西中新田640番地
【TEL】 086-426-3061 【FAX】 086-426-4095