公開日2025/02/6
公開日2025/02/6
『くらし・き・になるエリアプラットフォーム』では、発足前からすでに個々(個人・店舗・企業・団体など)で動かしている取り組みやプロジェクトがあります。たとえば、中村さんが運営するNPO法人倉敷町家トラスト、成清ゼミが空き店舗活用に協力してきた若者活動拠点『仁科商店iroiro』、エリアプラットフォーム副代表の小河原洋子さんによる『蔵キッチン』など、内容は実にさまざま。また、エリアプラットフォームのミーティングを通じて、今後求められる取り組みや活動も見えてきました。これらの活動が連携することで広がりが生まれ、ビジョン実現に向けた推進力となっています。先ほど紹介したワークショップ&シンポジウムもそのひとつ。ほかにも同エリアプラットフォーム副代表の原浩之さんが営む不動産会社『奨農土地』と連携することで、最新の空き家や土地の情報を把握できるという強みも生まれています。
「エリアプラットフォーム発足以前から、倉敷市では地域の意見を聞きながら『倉敷市中心市街地活性化基本計画』を策定していました。エリアプラットフォームのビジョンと整合する箇所も多く、行政がエリアプラットフォームと連携することで、より多様な人の声を拾いあげられるようになると考えています」と話す桑田さんは、こう続けます。「また、他地域のエリアプラットフォームにおける官民連携の『民』には大企業が介入することが多いですが、私たちのエリアプラットフォームは倉敷のことが気になれば、誰でも参加できる体制をとっています。参加費もかからない、メンバーから徴収することもない。今後の課題としては、持続可能な体制づくりの強化が必要です」。
「そのため、これからの展開には、マネジメントに関わる『人とお金と仕組み』がカギになってきます」と中村さん。「これまでも私が代表を務めるNPO法人倉敷町家トラストでは、地域の生活文化の継承や景観の保全のためのルールづくりを住民と一緒に行ってきました。仕組みづくりのための人とお金は課題ですが、ルールづくりはお金がなくてもできることです。同プラットフォームでは多様なメンバーがそろうからこそ、それぞれの強みを磨いていけると思うんです」。
「私自身、現在の伝建地区で生まれ住んでいますが、若い頃には町並み保全に興味はありませんでした。しかし、いろいろなことを知り、いろいろな人と出会ったことで、考え方が変わっていきました。倉敷には建物や石碑などの『目に見える歴史』だけでなく、文化や暮らしといった『目に見えない歴史』も多く残っています。私たちが受け継いだことを、若い人たちへと伝える番。そのためにも、多くの人と一緒に倉敷の未来を拓いていきたい」。
一過性ではなく持続可能な活動にする、そんな熱い思いを中村さんは語ってくれました。