公開日2025/03/28
公開日2025/03/28
倉敷美観地区周辺に建つ町家や蔵などを再生し、7つの宿泊施設と2つのギャラリーを営む「滔々」。「御崎 町家の宿」はそのひとつで、築約100年の町家を改修した一棟貸しの宿です。受け継がれてきた建物の個性と歴史を尊重しながら丁寧に改修されています。たとえば土間の天井に使われていた板材はキッチンの天井で再利用したり、ホタル壁といわれる経年変化で錆が浮き出た土壁をそのまま残したりと、手を加えすぎずあるものを活かした空間作りを大切にしています。
この建物は梁が細く、重厚な古民家というよりは、こぢんまりとした暮らしのサイズ感。中庭に植えられていた大きな木は取り除いて、山から採取したくねりのある細い木を植栽したり、キッチンのカウンターには薄めのサクラ材を取り入れて角を丸く加工したり、過度な演出はせずに空間の柔らかさに合うものを選ぶようにしています。
床の間の壁紙には倉敷の和紙職人・丹下直樹さんの備中和紙を取り入れ、ランプシェードや花器、チェストにいたるまで、インテリアのほとんどは宿に合わせて全国の職人がオーダーメードで制作しています。ときには施工を担当した「倉敷木材」の倉庫に赴き、空間に合う材料を職人とともに選んで調達したことも。こうしてひとつひとつの調度品や制作過程にも向き合っているからこそ、数々の作り手が関わっているけれど統一感がある空間になったといいます。
また、日常の延長線上で宿泊を楽しんでもらえるように、暮らしに必要な道具は一式そろえています。うつわやカトラリーは、「使ってもらうことで本当の良さがわかる」との思いから、全国の作家が手がけた手仕事のアイテムをセレクト。気に入ったものがあれば、隣接するギャラリーで購入もできます。
まるで宿全体が工芸館のようでありながら、快適に過ごすための心遣いが随所にちりばめられた「御崎 町家の宿」。暮らすように過ごしながら、受け継がれてきた建物の歴史や手仕事の品々にふれてみてはいかがでしょうか。