公開日2025/03/28
公開日2025/03/28
江戸から明治時代にかけて北前船が寄港する港町として栄えた下津井。かつて漁師町としてにぎわいをみせた「下津井町並み保存地区」に建つ古い民家を再生したのが「下津井宿 風待汐待」です。築約80年の建物を挟むように、昭和後期建築の2棟が前後に増築されています。
こちらの宿の一番の特徴は、リビングと屋内ガレージが窓越しにつながっていること。「僕自身もツーリングが好きで、下津井を訪れるバイカーに愛車を眺めながら過ごしてほしいと思い、リビングとつながる広々とした屋内ガレージを作りました」。そう話すのは、2021年に東京から移住してきたオーナーの長谷川達也さん。「下津井をバイカーの聖地に」という想いで、その拠点となるような宿を作りたかったといいます。ガレージとしてはもちろんですが、ときには地域の民謡『下津井節』が披露される場として使われたり、またときには宿泊者がBBQをしながら過ごしたりすることも。広々とした屋内ガレージは、宿泊客や地域の人たちの憩いの場としてさまざまな使い道が編み出されています。
「職人と作りあげた和の意匠にもぜひ注目してほしいです」と長谷川さん。設計を手がけたのは古民家の改修や和建築を得意とし、長谷川さんが働く会社でもある「なんば建築工房」です。もとあった木材を活かしながらも、工房の倉庫で大切に保存していた趣のある箪笥や建具を再利用。なかには種類の異なる木材を組み合わせた囲炉裏テーブルや町並みに調和する組子格子など、職人が建築の雰囲気に合わせて制作したものもたくさん。1階奥の寝室には三角形に盛り上がった船底天井を設え、港町の雰囲気を漂わせました。また、青色の土壁にはキラキラと光る塗料を加えて海のきらめきを表現。アメニティやタイル、ファブリックにも青色を取り入れて、瀬戸内海を連想させる空間にもこだわります。
「僕自身はこの町の人や瀬戸内海の景色に魅力を感じて移住をしました。愛車で鷲羽山周辺をめぐってみたり、対話しながら過ごしてみたり。この宿を拠点に町の魅力に触れながら大切な時間を過ごしてもらえたらうれしいです」と長谷川さんは言葉を締めました。