公開日2016/06/29
公開日2016/06/29
古くから民藝が盛んなまち・倉敷には、使うほどに愛着のわく手仕事の逸品、ものづくりに真摯に向き合う作り手たち、その思いを届けるクラフトショップなど、手仕事を身近に感じられるモノ・ヒト・コトがあります。
近年では、工芸や手芸、アートなど、手作りの品を展示・販売する「倉敷手作り市」や、地元作家が集い作品や活動を発信する「made in Kurashiki in くらしき」など、手仕事の魅力を多くの人に届けるイベントも定期的に開催されています。中でも、今年で11回目を迎えた「フィールドオブクラフト倉敷」は、中国・四国を代表する一大クラフトイベントにまで成長しています。
フィールドオブクラフト倉敷の会場は、倉敷美観地区のすぐそばにある「倉敷市芸文館」の広場。青く輝く緑の木々と清々しい噴水が迎えてくれる場内に、西は鹿児島から東は東京まで、全国各地から集った74組のクラフト作家の作品が一堂に会します。
作品ジャンルは幅広く、陶磁器、木工・漆、ガラス、革、竹、金属、染色、アクセサリー、紙、ほうきの計10ジャンル。自然素材の持つ温かい感触、一つひとつ異なる表情が、手仕事の魅力を教えてくれます。また、作り手と交流できるのもクラフトイベントの醍醐味。おすすめの使い方を聞いたり、ワークショップに参加したり、ものづくりの過程や想いにもふれることができます。
快晴に恵まれたイベント当日。開場と同時に、多くの人で場内はいっぱいに。小さな子ども連れのファミリーの姿も多く、お出かけ感覚で楽しめるのも、このイベントならでは。作り手や作品との出会いを楽しみに、さっそく会場を散策してみました。
「ここには、丁寧な手仕事から生み出された暮らしの道具が集まっています。使うことにきちんと向き合って作られたモノたちは、毎日使っていて飽きないし、毎日付き合うことで親密さが増していきます」と話すのは、「フィールドオブクラフト倉敷」で代表を務める宮井宏さん。このイベントは、手で作るという「ものづくりの原点」に立ち帰り、作り手の顔が浮かぶクラフトの魅力を伝えたい、という想いから2005年にスタート。毎年初夏に開催されています。
※11回目を迎える2016年は、過去最多の1万6000人を超える来場者で賑わいました。
開催当初から変わらない信念。それは、「ただ単にモノを売る場ではなく、ものづくりの魅力を伝えること」だと宮井さんは話します。そのため、作品だけでなく材料や道具なども一緒に展示したり、実演やミニワークショップを行ったりと、作品の背景にも関心を持ってもらえるような仕掛けや工夫にも力を入れています。また、出展作家の選定は公募ではなく、「この人に参加してほしい」と思う作り手に声をかけて決定しているとのこと。想いに賛同してくれる作家さんと一緒に「フィールドオブクラフト倉敷」を作り上げていくからこそ、多くの人を魅了しているのかもしれません。
倉敷を歩けば、帆布製品や倉敷ガラスなど手仕事の逸品とあちらこちらで出会うことができます。「昔から倉敷に息づく“手仕事への想い”と連動しながら、まち全体のイベントとして成長したい。作り手と使い手の懸け橋になれるよう、これからも進化していきたい」と力強く話される姿が印象的でした。