公開日2018/03/27
公開日2018/03/27
古から続く吉備の酒に磨きをかけた多彩な地酒。
江戸中期の1716年に、庵谷伊七が創業した倉敷最古の酒蔵・熊屋酒造。和歌山県の熊野本宮を遷座した日本第一熊野神社や五流尊瀧院に囲まれた、冷涼な地にあります。仕込みに使うのは、酒造りの頃に冷たい風が吹き下ろす裏山にある、軟水と硬水が湧き出る2つの井戸水。山田錦などの岡山県産米を100%用い、ベテランの南部杜氏が昔ながらの手作業で造っています。淡麗かつやや甘口で口あたりが良く、フルーティーな香りが身上です。
天明5年(1785年)に創業し、昭和の初め頃に5代目当主によって「十八盛」と名付けられた蔵元。8代目となる現当主は、「原価を欠いても良いお酒を造る」という先代の教えを守り続けています。岡山県赤磐市の朝日米にこだわった「十八盛 朝日純米大吟醸備前50」は、米の旨みを引き出すために低温でじっくりと仕込んでいます。フルーティーな香りと口当たりの優しさ、ふくよかな味わいは、冷やあるいは常温がおすすめです。
江戸時代末期の文化3年(1806年)から、倉敷市児島で酒造業を営む「三冠酒造」。この小さな蔵では、地下35mから汲み上げる水と岡山県産の雄町、朝日米、あけぼのを用い、代々受け継ぐ三段仕込みですべての酒を吟醸仕込みしています。60%以下に精白した米を昔ながらの和釜で蒸し上げ、低温でもろみを管理したこの一本には、その名の通り色・味・香りの「三冠」がそろっています。ほどよい香りの辛口で、熱燗はもちろん冷酒もおすすめです。
明治11年(1878年)創業の菊池酒造の社長・杜氏が追い求めるのは、「旨みがあってキレのよい、一度飲んだら忘れられない酒」。「燦然」の名には、「数多いお酒の中でも一段と輝く素晴らしいお酒でありたい」という願いが込められています。用いる酒米は、磨き上げた山田錦。モーツァルトの音楽の流れる蔵の中で醸されたこの酒は、吟醸の華やかな香りと幅のあるなめらかな旨さ、キレの良いやや辛口な味わいが特徴です。
本醸造、吟醸、未搾り原酒など約50種があり、好みや容量に合わせて選ぶことができる「萬年雪」。造っているのは明治42年(1909年)創業の森田酒造。近辺の農家で収穫された米を原料に、代々受け継ぐ蔵仕事を忠実に施し、倉敷の酒を守っています。「荒走り」とは、酒を絞る上槽という工程で、圧力をかけることなくもろみから自然と出てきた酒。別名「香り酒」とも呼ばれ、その鮮烈な香りと豊かな味は比するものがありません。
創業は明治42年(1909年)。以来、丁寧な酒造りを続ける渡辺酒造本店。昭和初期に誕生した銘柄「嶺乃誉」は、原料米に岡山県産あけぼの、仕込み水に高梁川水系の伏流水を用い、備中杜氏が伝統の技を駆使して、ていねいに造っています。モーツァルトが流れる蔵で醸されるこの酒は、やや甘口ながらしっかりとした味わいが特徴で、瀬戸内海の魚とともに飲むのに最適。熱燗にも適した清酒で、普段の晩酌にもってこいです。