公開日2022/10/27
公開日2022/10/27
倉敷美観地区にほど近い住宅街に、天文台があるのをご存知でしょうか。1926年に設立された、誰もが無料で星の世界を観望できる日本初の民間天文台「倉敷天文台」です。倉敷天文台は、元倉敷町長で後に倉敷市名誉市民となった原澄治が設立し、世界的アマチュア天文家で、長年倉敷天文台の主事を務めた本田實が観測活動の拠点としたことで知られています。
2022年4月、その敷地内に、ブックカフェ『星の光の澄みわたり』がオープンしました。
店内は、星にまつわる1000冊もの書籍や雑誌に囲まれ、昭和レトロな趣。コーヒーや紅茶、数種から選べる手作りケーキなどが味わえます。一角には、天文台のオリジナル商品や星をモチーフにした雑貨が並ぶコーナーも設けられています。
「もともとこの建物は、生涯に新彗星12個、新星11個を発見し、『天体発見王』とも呼ばれていた本田實さんのご自宅でした」と話すのは、天文台設立者・原澄治のひ孫である公益財団法人倉敷天文台の理事長・原浩之さんです。
あえて音楽を流さない静かな店内で、ティータイムを楽しんだり、ゆっくりとくつろいだり、本棚に並んだ星にまつわる数々の本を開いて星の魅力に出合ったり…。本のほとんどは本田さんの蔵書で、時に、本田さんが記した覚書や、メモがはさまっているのが見つかることもあるのだとか。
「このカフェをとおして、本田實さんや倉敷天文台のことを知っていただきたい。そして、今まで前ばかり見ていた人が上を見て『すごく光っているあの星はなんだろう』と、星の世界に興味を持ってくれるようなきっかけ作りの場にしていきたいですね」と、原さんは笑顔を浮かべました。