公開日2023/02/1

特集47 クラシキの建築 - 倉敷の町並みを築いた3人の建築家 新たな形の古民家再生で、まちの活性化に挑み続ける楢村徹さん 特集47 クラシキの建築 - 倉敷の町並みを築いた3人の建築家 新たな形の古民家再生で、まちの活性化に挑み続ける楢村徹さん

Chapter3 新たな形の古民家再生で、
まちの活性化に挑み続ける楢村徹さん

 倉敷美観地区は、今でこそ多くの観光客で賑わっていますが、本町通りのあたりはかつては寂れ、朽ちかけた空き家も目立っていたといいます。そんな中、1980年代半ばから、「空き家を再生活用することで、生まれ育ったまちに活気と魅力を付加したい」と、古民家再生に取り組み続けているのが倉敷美観地区近くで生まれ育った楢村徹さんです。

倉敷建築工房 楢村徹設計室
楢村徹さん
倉敷建築工房 楢村徹設計室

 「当時、古民家は直すにしても修理・改修する保存という方法しかありませんでした。しかし、大切なのは、古民家同様に本物の材料を使い、時間的な経過に耐えうるものをつくること。建築家6人で『古民家再生工房』という建築家グループを立ち上げ、古民家の暗い、寒い、不便という要素を取り除いて、モダン建築の手法で再生していきました」。
 そう話す楢村さんは、この40年間で倉敷美観地区の住宅や商店など約40軒の古民家再生を手がけてきました。再生した建物が、点から線、線から面へと広がるのに伴い、新たな飲食店やおしゃれなショップも誕生し、まちの雰囲気までが変わっていったのです。

建築の本
楢村徹さん

 その実績から、2010年に倉敷市の中心市街地活性化事業のタウンマネージャーに選任された楢村さんは、「奥の魅力」と「路地のネットワーク」をテーマに、「林源十郎商店」や「奈良萬の小路」、「クラシキ庭苑」などの再生を行ってきました。また、2022(令和4)年4月にオープンした「倉敷SOLA」の設計も手がけています。

林源十郎商店1
奈良萬の小路2
クラシキ庭苑3
クラシキ庭苑4
倉敷SOLA5
倉敷SOLA6
  1. 1林源十郎商店
  2. 2奈良萬の小路
  3. 34クラシキ庭苑
  4. 56倉敷SOLA

 「これらは、施設が周辺に与える影響が活性化の連鎖を生むことを、一般の人々が目で見てわかるようにはめ込んだモデルなんです。実際、施設の完成後は周辺の商店の方向性や人の流れも変わりました。しかし、まちの活性化に終わりはありません。私の理想は、観光振興に留まらず、倉敷美観地区やその周辺が市民の楽しめる場となり、そこで生まれる来訪者との交流の中で、地元市民としてのプライドを持てるまちになることなのです」。そう楢村さんは語ってくれました。

他にもこんな特集があります。

  • 特集23.- 倉敷市伝統美観保存条例制定から50年 思いが守り伝える町並み
  • 特集 Vol.33 倉敷メイドの逸品が生まれる。モノ作りの現場へ 5
  • 特集44 SDGsなクラシキ3 -ITONAMI- Chapter.1

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