公開日2025/02/6

特集59 くらし・き・になるエリアプラットフォーム 特集59 くらし・き・になるエリアプラットフォーム

Chapter2 50年先を見据えた若者主体のまちづくり

 『くらし・き・になるエリアプラットフォーム』は、設⽴前の準備段階から現在まで定期的にミーティングを開催しています。全会員を対象にした「全体ミーティング」、6つのチーム別に意見を交わす「チームミーティング」で議論を重ねるうち、「未来のまち」を担う「今の若者」の想いを汲み取る重要性が高まり、10~20歳代の若者だけが集まり議論する場「ユースセッション」も開かれるようになりました。
 高校生と大学生が倉敷の持続可能な社会・経済について話し合ったり、高校生と一緒に美観地区でフィールドワークを行ったり、歴史的都市環境を活かすまちづくりの第一人者・西村幸夫教授(國學院大學 観光まちづくり学部長)を招聘して高校生や大学生との対話の機会をつくったり。若い世代の意見やビジョンを取り入れる場を積極的に設けています。

全体ミーティング
ユースセッション
ユースセッション
ユースセッション

 そんなユースの中心的存在が、同プラットフォームのメンバーでノートルダム清心女子大学同窓会の職員でもある荒川優菜さん。成清ゼミ生だった学生時代から社会人2年目となる現在まで、継続的にまちづくりに取り組んでいます。
 「今まで関わった中で特に印象的だったのが、2024年11月に行ったワークショップ&シンポジウム。有志の若い人たちが、倉敷の町並みに対して熱量を持って議論する姿を見られたことが嬉しくて。これを機に、私自身、自分の取り組み方をより一層考えるようになりました。まちをよりよくするためにはどうしたらよいか、そのためには若い人たちをどう巻き込んでいったらよいか―。この活動を通じて若い人たちと一緒に考えることが、より楽しみになってきました」と気持ちの変化を話してくれました。

荒川優菜さん
ワークショップ&シンポジウム
ワークショップ&シンポジウム
ワークショップ&シンポジウム

 荒川さんが話すワークショップ&シンポジウムとは、オランダ政府文化遺産庁(RCE)の専門家やオランダ在住の建築家、国内からも、歴史的建造物を活かしたまちづくりに精通した専門家、の計6名を講師として招聘し、倉敷美観地区および周辺エリアのこれからの姿を模索。K2067プロジェクト(注釈2)が主催し、同エリアプラットフォームとオランダ政府文化遺産庁(RCE)が共催。オランダ流のアダプティブ・リユース(歴史的建築物を新たな用途に再利用すること)を学びながら、もっと訪れたくなる・住みたくなるような倉敷の未来に向けて、空き家や公共空間の活かし方を考えるという内容です。

※注釈2 若者の手で倉敷の未来ビジョンを築くプロジェクトのこと。次世代のまちづくりの人材発掘・育成、協働や交流によって育まれる地域の新たな魅力づくりを目指す取り組みで、ノートルダム清心女子大学人間生活学科成清ゼミとNPO法人倉敷町家トラストが協働。旧倉敷市・旧児島市・旧玉島市が合併して100年目を迎える2067年に向けて、若者を交えた未来ビジョンづくりを目指す。

Jean-Paul Cortenさん1
Jacqueline von Santenさん2
根津幸子さん3
西村清是さん4
  1. 1オランダ政府文化遺産庁(RCE)シニア政策オフィサー Jean-Paul Cortenさん。専門は歴史的環境の保全
  2. 2オランダ政府文化遺産庁(RCE)シニアアドバイザー Jacqueline von Santenさん。専門は建築史・都市史
  3. 3アムステルダム在住の建築家 根津幸子さん
  4. 4株式会社浦辺設計 代表取締役 西村清是さん

 プログラムの初日では、成清ゼミの大学生と倉敷東小学校の6年生が一緒になって倉敷の未来を考える「しらかべ地域プロジェクト」発表会が行われました。このプロジェクトは、実際に小学生がまちを歩き、まちの人に取材し、問題を探り、解決のための方針・取り組みを整理するもの。当日はオランダから招いた講師を前に、これまでの探究結果を発表。講師から「お気に入りの場所はどこ?」と尋ねられると「美観地区」と答えたり、「倉敷に住みたい?その理由はなぜ?」という問いに対して「歴史と地域とのコミュニケーションがあるから、倉敷に住みたい」とハキハキと答えたりする姿に、シビックプライドの芽吹きを感じました。

しらかべ地域プロジェクト」発表会
しらかべ地域プロジェクト」発表会
しらかべ地域プロジェクト」発表会
しらかべ地域プロジェクト」発表会
しらかべ地域プロジェクト」発表会

 また2日目には、倉敷えびす商店街周辺と倉敷市立美術館周辺に講師とともにフィールドワーク。参加者のひとり、自らも古い町家に住む住民からは「歴史的建造物は一度消えたら戻ってきません。壊すのではなく、次へとつなぐことが大切。そのための活用法を、エリアプラットフォームや地域のコミュニティーと連携しながら探していきたい」という、町並みに対する切実な思いが聞かれました。また、倉敷市出身で現在は九州の大学へ通う学生からは「義務感ではなく、楽しみながらまちづくりに取り組める仕組みをつくることが重要だと感じた。そのためにも知人を巻き込んでいきたい」という頼もしい声があがりました。

フィールドワーク
フィールドワーク
フィールドワーク
フィールドワーク

 まちを歩いて気づいた問題点を、ケーススタディワークショップで提案にまとめ、「くらし・き・になるミーティング」で意見を交わし提案内容をブラッシュアップ。最終日のシンポジウムでは、その報告とパネルディスカッションが行われました。
 今回の企画運営を担った成清さんはこう話します。
 「多くの20代の若者が、岡山はもちろん県外からも、ワークショップのメンバーとして倉敷を訪れ、熱い議論を交わしてくれました。また『しらかべ地域プロジェクト』を通じて小学生も探究を深めてくれました。彼ら・彼女らはきちんとリサーチできるし、話し合えるし、しっかり意見を述べることができる。子ども扱いをしてはいけません。まちで次世代を育てる、その次世代が未来のまちをつくる―。そのための環境づくりに、引き続き取り組んでいきたいです」。

シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム
シンポジウム

他にもこんな特集があります。

  • 特集 vol.7 クラシキの隠れ家的なお店
  • 特集56 MASC – 倉敷から、ソラへ。- Chapter.1
  • 特集30.- 倉敷ジャズストリート

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