公開日2025/12/25

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熊屋酒造 熊屋酒造

  • 熊屋酒造
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南部杜氏の技と先進技術で造る
入魂の酒は、今や海外にも。

 江戸時代中期の創業から300年以上にわたって日本酒を造り続ける「熊屋酒造」は、倉敷市で最も古い酒蔵です。創業者の庵谷伊七から数えて14代目にあたる庵谷晴男さんは、こう話します。
「山に囲まれたこの地は、冬になるとかつて修験道の修行の場だった山から冷たい風が吹き下ろして、本当に寒いんです。そして、敷地内にある硬水と軟水、2つの井戸は、雨が降らなくても枯れることがないので仕込みの水にはことかきません。ここは、酒造りに適した気象条件や水に恵まれた土地なのです」。

熊屋酒造
熊屋酒造
熊屋酒造
熊屋酒造
熊屋酒造

 岡山県下では唯一、日本三大杜氏のひとつに数えられる南部杜氏が酒造りを担う「熊屋酒造」では、長く「巴福正宗」という銘柄で普通酒を造ってきました。「南部杜氏は岩手県発祥で国内最大規模の杜氏集団。洗練された技を受け継ぐ職人たちです」。そう話す庵谷さんは、35年ほど前に蔵元を受け継ぎました。その直後、「純米や純米吟醸を造りたい」との思いから立ち上げたのが「伊七」です。フルーティな香りでキレのよいこの銘柄には、それぞれ味わい深い約20種がそろっています。

庵谷晴男さん
当時の様子
発酵
背中に伊七

 10年前には、「日本酒を世界に向けて打ち出したい」と、新たな銘柄「庵」を開発。酒類専門商社との協力で、今ではフランスやブルガリアなど6カ国に輸出されています。

創業者の名を冠した「伊七」は、
香りと旨味、潮が引くようなキレが特長。

 庵谷さんが常に意識しているのは、「ずっと飲みたいと言っていただけるお酒」。その思いを受けた杜氏や蔵人(くらびと)たちは、南部杜氏の伝統の技を基本に、水の泡で洗う洗米機や空気圧でやんわりと酒を搾る圧搾機といった先進の技術も取り入れつつ、酒造りに取り組んでいます。
 代表的な銘柄は、創業者の名を冠した「伊七」。なかでも岡山県産山田錦を用いた「伊七 大吟醸」は、すっきりとした飲み口で、フルーティなふくみ香と米の豊かな旨みを楽しませてくれる淡麗旨口の酒。庵谷さん曰く「雑味がなく、切れ味抜群」の1本です。

庵谷さん
伊七 大吟醸
酒造り
酒造り
酒造り

 地域の旧名にちなむ「郷内」は、庵谷さんの先輩らが「この米で酒を造ってくれ」と、自分たちで育てた米を持ち込んだのをきっかけに生まれた銘柄。「郷内の田んぼがどんどん減っている現状をなんとかしたい」。そんな思いに動かされて醸したこの酒は、地元の人々に土産用としても愛用され、とても喜ばれているそう。
 また、庵谷さんは「地元と交流しながら酒を造りたい」と、例年2月に「新酒まつり」を開催。試飲や販売コーナーのほか、酒を飲まない人や子どもも楽しめるさまざまな屋台もずらりと並び、毎年、多くの人でにぎわっています。

郷内の米
郷内の米
熊屋酒造の皆さん
庵谷さん

代表銘柄紹介

伊七 大吟醸

伊七 大吟醸

岡山県産の山田錦を40パーセントまで磨いた大吟醸。時代の好みや食事に合うよう、軟水の井戸水で仕込み、ソフトでフルーティな味わいに仕上げている。

郷内 純米吟醸無濾過生原酒 郷内産朝日米

郷内 純米吟醸無濾過生原酒 郷内産朝日米

郷内地区で育てられた「朝日米」とこの地に湧く水のみで醸したこの酒は、まさに地酒。口に広がる複雑な香りと朝日米の旨さ、キレのよさをご賞味あれ。

  • 外観
  • 外観

1716(享保元)年創業の、倉敷に現存する酒蔵のなかで最古の酒蔵。伝統の技を基本に、先進の技術も取り入れ、敷地内に湧き出る霊水と県内産の米で醸す酒は、国内はもとより海外でも楽しまれている。

【醸造蔵元 熊屋酒造有限会社】
https://41sake.com/home/kumaya

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