公開日2022/10/27
公開日2022/10/27
「記念館に天文学者・神田茂さんの著書『彗星の話』を展示しているのですが、それは本田實さんが彗星探索家になるきっかけとなった一冊。日本人は彗星を発見できていないという内容に対して、新しい彗星を見つけるぞという趣旨が記されているんです。それを見た時に、私の代で日本初の民間天文台をつぶしちゃいかん、この先も残していかなくちゃならんという気持ちが強くなりました」。
そう振り返る原さんは、2026年に迎える天文台設立100周年に向けて、ブックカフェ『星の光の澄みわたり』のオープンや、焼き芋を作りながら部分月食を眺めるユニークな観望会の実施など、新たな取り組みを展開しています。
その一つが、瀬戸内海に落ちた火球の話や流星群の観察の仕方をはじめとする星にまつわる講演や、星をテーマにした音楽ライブなどを毎月21日に開催する、会員向けの「くらてん講演21」。今後は、「敷地内にテントを張って、みんなでカレーを作って食べたあと、星空を見るといったキャンプイベントなども計画していきたい」と、原さんは話します。
さらに、倉敷美観地区内で2021年12月まで10年にわたって毎週開催されていた朝市『倉敷路地市庭』の移転先として場所を提供。2022年1月から、有機野菜や魚、天然酵母パン、自家焙煎コーヒーなどの店が並ぶ「倉敷路地裏マルシェ」として、毎週土曜日に開催されています。
民間施設だからこその自由度の高さを生かし、さまざまなことに取り組む倉敷天文台。「200周年を迎えられるよう、まずは倉敷天文台を誰もが知っている場所にしていきたい」。そう話す原さんは、「日常会話の中で、天体についての言葉が自然と交わされる。そんな地域になっていくとうれしいですね」と、言葉を締めました。