公開日2016/03/22
公開日2016/03/22
世界最大級の橋である瀬戸大橋を擁する倉敷市児島地区は、国産ジーンズ発祥の地、「日本のデニムシリコンバレー」としても国内外の注目を集めています。
個性あふれるジーンズショップが建ち並ぶ児島ジーンズストリートやジーンズヴィレッジなど、見所の多いこの町を訪れたら、町中から少し離れた小高い山の中腹で、ランチやカフェタイムなどいかがでしょうか。
ランチとカフェのお店『HÜTTE』があるのは、木立に囲まれた小道の行き止まり付近。陶芸体験もできる『備前焼窯元 鷲羽窯』の敷地内に佇む、山小屋風の建物です。
大きな窓越しに児島の町を一望できる店内で味わえるのは、ヘルシーな「野菜いっぱいランチ」。近所の畑で育った無農薬野菜や、近隣のJAの直売所などで、自ら選んだ野菜…。20〜30種の旬の野菜を用いた、和洋折衷の家庭料理のあれこれに、ふっくらと炊きあがったご飯と汁物が添えられています。
腕を振るうのは、もともと料理が大好きで20代の頃から料理学校で学んできたという店主の野田淑子さん。たとえば、「春菊とナッツのかき揚げ」や「大根のピクルス」「蓮根の照り焼き」など、各国料理にひと工夫を加えた品々が並ぶランチは、「仕入れた野菜で何を作るか決めるので、週に3回、料理内容が替わる」のだとか。
また、午後2時からはカフェとしても利用できます。コーヒーや紅茶をはじめ、庭で栽培したレモンを使った「柚子レモン茶(10~4月限定)」など、約10種のドリンクを楽しめます。
町の喧騒から離れ、小鳥の声や葉擦れの音を耳にしながらランチやお茶を味わうひと時が、心を癒してくれそうです。
『ヒュッテ』とは、山小屋を意味するドイツ語。実はこの児島には、かつて同じ名の人気店がありました。それは、1959年に野田さんの亡き父が開き、1991年に惜しまれつつ閉店したパブ&食事処です。「父が『HÜTTE』の25周年パーティを開いた時、そこに集まった130人ものお客さまの前で、『HÜTTE』は私が守りますと宣言したんです。その時の思いがずっと心の底にありました」。
そう話す野田さんは、60歳を過ぎて「父の思いを継ごう」と一念発起。画家として活動する娘の裕子さんと、その夫で陶芸家のドン・パーカーさん、友人である『鷲羽窯』の尾鷲さん父子の協力のもと、店づくりに取りかかりました。
壁の石積みから屋根張り、テーブル、食器まで、店のすべてが手作りです。用いたのは、裏山の石、古船や古家の廃材、神社から出てきた柱、書店の本棚…。いずれも裕子さん達が、児島の町のあちこちから調達してきたものだと言います。ひとつひとつが物語を秘めた材料で作られた店内は、まるで長く使われてきた山小屋のように温かく、心落ち着く雰囲気に満たされています。
アーティスト達が手がけたこの空間では、裕子さんの絵画やドンさんの陶器、そこここを彩る装飾品など、アートとの出合いも楽しみのひとつになっています。
児島の町を一望する高台に建つ山小屋カフェ。店内を彩るブリキアートや絵画、料理を盛り付ける器もすべて自分たちで作ったもの。メニューは地元野菜をバランスよく取り入れた「野菜いっぱいヘルシーランチ」のみ。ランチのみの場合は980円、ドリンク付きは1100円、デザート&ドリンク付きは1200円で楽しめます。