公開日2015/07/17
公開日2015/07/17
※倉敷路地市庭は2022年1月から「倉敷路地裏マルシェ」として倉敷天文台で毎週土曜日に開催しています。詳しくはこちら
倉敷路地市庭 (この日は素隠居も登場)
※素隠居(すいんきょ):阿智神社の例大祭の際、御神幸の獅子に付き添って歩く翁(おきな)と媼(おうな)の面をかぶった若者のことです。
毎日多くの観光客が訪れ、賑わいをみせる倉敷美観地区。「ひやさい」と呼ばれる路地を一本入ると、そこには町家に暮らす人々の日常が、倉敷の歴史や文化と重なり合うように息づいています。毎週土曜日に開かれる『倉敷路地市庭』は、普段なら見落としてしまうような「ひやさい」を抜けた先にあります。「地元のおじいちゃん、おばあちゃんのために、昔懐かしい日常を作りたかった」と語るのは、主催者のひとり、原浩之さん。倉敷出身の原さんは、2010年に家業である不動産会社を継ぐために東京から帰郷。「せっかく空き地があるんだったら、ここで何かしてみては」という知人の一言をきっかけに、翌年5月、路地の文化が根付く倉敷で、小さな市場を開くことになりました。
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1毎週末様々なお店が立ち並ぶ
市場を開く。それだけなら、他の地域でも珍しくない活動ですが、『倉敷路地市庭』が特別な可能性を秘めるゆえんは、「倉敷の風土」が強く作用しているようです。「倉敷は観光地であると同時に、暮らしの場でもあります。観光客と地元客、若者と高齢者、親と子……さまざまな人たちが集まります。その人たちをこの市庭を通してつなげ、庭に集うような交流の場を作りたい。“市場”でなく“市庭”と付けているのも、その思いの表れです」。さらに続けて「来てくれる人が喜んで、繰り返し足を運んでもらうために、安心・安全な“本物の食”を提供し、出店者同志が刺激し向上しあい、何より自分たちが楽しんで市をすることが大切」と語る実行委員のみなさん。歴史と文化を湛えたまち、そこに暮らす人々、訪れる人、みんなが笑顔で暮らせるまち。どうやら倉敷のこれからがここにあるのかもしれません。
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2その場でつくる、揚げたてのお惣菜
3オーガニックコーヒーのカフェスペース
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1倉敷路地市庭 / 委員長:原 浩之 さん
『倉敷路地市庭』には、地元倉敷の産物はもちろん、高梁川流域や周辺の地域からも、多くの魅力的な商品が集まってきます。「この市庭をハブとして、モノやヒトを通じて高梁川流域や周辺の地域をPRしてもらい、次は実際にその地域に足を運んでもらえることが理想」と原さんは話します。単にモノを売る場所としての役割だけでなく、コミュニケーションを通してさまざまな相乗効果が生まれます。「僕自身が出店者の方々やお客さんとコミュニケーションすることが単純にとても楽しいんです。楽しみながら市庭を開くことで、若い世代の人たちに“楽しさ”を伝えていきたい」。「大人たちが楽しんでいれば、子どもたちもきっと倉敷が好きになってくれる。そんな子どもたちが大人になった時、倉敷を誇りに思ってくれたら嬉しい」と笑顔で話してくれました。
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2高梁市の地域協力隊のショップ
3「早島有機の郷」の無農薬野菜
立ち上げた当初は10軒だったブースも、現在は約20ブースにまで拡大。「商品にストーリーがあって、食べておいしいもの、見て楽しいものにこだわった」という小さなお店たちは、どこもお客さんでいっぱいです。なにより訪れる人たちに喜んでもらえるよう、座って食事ができる広場を作ったり、子どもたちが遊べるスペースを作ったり、さらには、毎月第一土曜日のくじ引きの開催など、少しずつバージョンアップを重ねながら現在の形になりました。「今年は、石窯ピザの窯を作りました」と原さん。訪れるたびに発見がある『倉敷路地市庭』は、これからも進化し続けます。
細い路地を抜けた先に広がる手作り市。有機無農薬野菜にこだわった店、レンコンを使ったコロッケ店、オーガニックコーヒーが楽しめるカフェなど個性豊かな約20店舗が並びます。市庭奥には、カフェブースや青空テラスがあり、ゆっくり腰をかけてくつろげる場所も用意。管理栄養士がつくるヘルシーなお弁当もあり、ここで昼食を楽しむ人も多いそう。毎週土曜に行われる定期性、営業時間の長さも特徴です。