公開日2017/03/30
公開日2017/03/30
「倉敷を目指して来られる人々に、どういう形で魅力を伝えたらいいのだろう」。構想をめぐらせる中、「ただ商品を売るだけでなく、背景や空気感も一緒に伝えられないだろうか」という考えに至りました。それを具現化したのが、同施設の特徴のひとつである工房併設型のショップスタイルです。大きく取られた窓から製作現場が見学できたり、工房の一角でクラフト体験が楽しめたり、作る過程に焦点を当てることで、メイドイン倉敷のモノづくりに対する姿勢や品質の高さを知ってもらうことにしたのです。
2015年11月に、倉敷市中心市街地活性化協議会で「町家リノベーションによる新魅力拠点づくり」の新計画事業の認証を受け、「これが、構想を実現へと進める大きな後押しになりました」と青山さん。賛同してくれる工房を公募し、笠岡市、井原市、浅口市など高梁川流域を中心としたエリアから工房が決定。定期的に会議を重ね、施設のイメージを共有していきました。時には商品に対するアドバイスを求め、時には忌憚のない意見を交わし、オープンに向けて細部にわたって内容に磨きをかけていったのです。
会議と並行して、2016年6月からは補修工事がスタート。設計は、倉敷の町家再生を数多く手掛ける建築家・楢村徹氏によるものです。通りに面した築170年部分の町家を再生しつつ、その奥に広がる雑木林を更地にし、中庭を望むように3棟を増築。美観地区内で行われる工事のため周囲の景観にも気を使いながら、慎重かつ丁寧に進められていきました。
オープンまで3日と迫った2017年3月16日。什器や商品を搬入する大詰めの作業を迎えていました。製作に欠かせない道具を取り出したり、商品をディスプレイしたり。真新しい空間に、職人たちの息吹が次々と注ぎ込まれていったのです。