廃棄するのではなく地域の資源として見つめ直すこと、廃材に創造性を加えて再利用を考えること、工夫を楽しみながら心豊かに暮らすこと。そうした廃材を通じたコミュニティづくりの実践の場として、大月さんが誕生させたのがIDEA R LAB(イデア アール ラボ)です。2013年にできたこの施設は、大月さんの生家でもある築300年の古民家をリノベーションしたもの。ワークショップなどを開催するラボ(実験室)をメインスペースに設け、二階建ての蔵はクリエイター・イン・レジデンス(作家が滞在して創作活動をすること)用に改修。「かつての玉島がそうであったように、そこで行われているコトが手に取るように見えるのが大切」という思いから、建物の一面をガラス張りにし、通りから中の様子が見られるように一新しました。
またIDEA R LABから徒歩すぐの場所には、古民家をリノベーションしたMaterial Library(マテリアルライブラリー)を設け、地域から出た廃材や世界各地のクリエイティブリユース製品をストックしています。「廃材は少量で種類が混在していると魅力が見えづらいですが、色や種類別に分類すると急に輝きを増すんです」。その言葉通り、空間を埋め尽くす廃材が放つ不思議な存在感に圧倒されてしまいます。