公開日2020/02/21
公開日2020/02/21
保存会再興から約30年。今では100近くの企業と個人の方々が協賛し、担い手は約30人にまで増えました。
生まれも育ちも倉敷で、現在は三重県在住の井上良太さんもそのひとり。「小学校3年生から約25年間、ずっと素隠居を続けています。今も春と秋の例大祭には素隠居のために帰省します。素隠居は私にとって、地域と自分をつないでくれる大切な存在です」と話してくれました。
町外の人でも素隠居の担い手になれると知り、参加を決めた水島出身の安藤俊晴さんはこう話します「自分自身も楽しいのですが、素隠居のまわりにいる見物客の方たちも楽しんでくださるのが嬉しくて。町外のため小さい頃は素隠居を知らなかったけれど、素隠居になることで地域の皆さんの思いを追体験できる。思いを共有できるのが魅力です」。
また、15年前からは倉敷東小学校の子供たちがお面をかぶり、素隠居として参加。担い手に年齢も住む場所も性別も関係ありません。「素隠居に携わる『人の思い』が、素隠居を未来につないでいくんです」。そう小田さんは語ります。「素隠居は町民のアイディアから誕生しました。千歳楽を町内で出すようになってからは、近寄る子供たちを素隠居がうちわで追い払う交通整理の役割が強くなりましたが、その根底には、子供たちを守りたい、町内を守りたいという思いがあった。その思いが派生して、素隠居に叩かれるとご利益をいただけることにつながったのかなと考えるんです。倉敷は豊かな文化が残る場所です。先人たちが守ってきた素隠居の思いを大切に受け継ぎながら、時代に合わせた新しい素隠居を守り残していきたいんです」。
今年もまた、素隠居が倉敷の町に現れます。その風景はこれからも続いていくに違いありません。
倉敷素隠居保存会は、倉敷の伝統的な風習である素隠居を永久に保存するとともに、素隠居に関する資料の収集、整備等を図り、その精神を顕彰することを目的として、活動しています。