公開日2022/02/15
公開日2022/02/15
「高梁川流域の歴史や文化などの学びに加えて、流域の未来のことも考えるようなプログラムを開催したい」。坂ノ上さんらがそう思いはじめた2020年に、倉敷市が国から「SDGs未来都市」に選定されました。そこで、同校の中核的プログラムである「備中志塾」を拡大し、流域だからこそのSDGsを学び、持続可能な高梁川流域の実現について自ら考える「高梁川志塾」(倉敷市主催)を、2021年にスタートすることとなったのです。
「高梁川志塾」には、「SDGs探求コース」と「企業コース」があり、どちらも約3カ月かけて流域に密着したSDGsについて学んでいきます。
流域でSDGsの達成に向けて活動する人や専門家の話を聞く「SDGsビジョン編」、高梁川流域の歴史・文化・産業などを学び、神崎校長の講座も含む「教養編」、自分たちでテーマを決め、目標達成への道を考えるワークショップ形式の「ローカルSDGsミッション編」、プロジェクト企画や探求学習のためのノウハウなどを習得する「スキル編」。そして、流域で行われている持続可能な取り組みを体験・実践する「フィールドワーク」や「実習」など、そのプログラムは実にさまざまです。
ある日は、町家の再生・利活用を中心に活動する『倉敷町家トラスト』の中村泰典さんに倉敷の町を案内してもらいながら、2030年、2050年に倉敷の町や流域がどのような姿になっているかを語ってもらいました。「SDGsが掲げるゴールのヒントが倉敷にはたくさんあります。その顕著な例が、倉敷美観地区です。美しい町並みを形成する町家の多くが、地域の材料を用いて地域の職人によって作られたもので、素材も人もお金も地域で循環。その町家には今も人が住み、古くなれば修理をし、磨きをかけて次の世代へと残していきました。SDGsと言われる前から、持続可能な暮らしを体現しているのです。美しい未来都市のモデルが、ここ倉敷にはあるんです」と話す中村さんの言葉が印象的でした。
また別の日には、環境に関わるデータやそれを分析するツールについての説明を受けた後、グループワークを開催。「海ゴミ・川ゴミの削減や食品ロス、百貨店の売り場で流域の地産食材を取り扱うにはどうしたらいいかなど、自分たちで選んだテーマについて、情報を収集・整理・分析し、互いの意見を交換しながら学んでもらいました」。そう話す坂ノ上さんは、「さまざまなスタイルで学べるこのプログラムは、SDGsのための大人の探求学習なのです」と、柔和な笑顔を浮かべました。