公開日2024/10/7
公開日2024/10/7
お客さまのニーズに合ったよいものを作りたいという思いから、さまざまな色や柄の畳縁を生み出してきた髙田織物ですが、はじめのうちは、伝統を重んじる畳業界にはあまり受け入れられませんでした。そこで当時社長だった幸雄さんは、ハウスメーカーや工務店にダイレクトメールでカタログを送り始めたそう。すると、「この畳縁で和室を作りたい」「こんな畳縁があるなら畳替をしてみたい」と、注文が増加していったのです。
「それでも、私が入社した2004(平成16)年頃は、畳縁は畳の一部でしかなく、畳店が選んで使うのが当然で、一般の方はもちろんハウスメーカーや工務店の方たちさえ『畳縁を選べる』ことを知らないという状況でした」と、現社長の髙田尚志さんは振り返ります。
一方で、10畳分を1単位として出荷されている畳縁には、織物であることからロットごとに色味が微妙に異なり、買い足して次に使うことができないという特徴があります。そのため、畳店からは、「いろんな商品を作るのはやめてほしい」という声が多く寄せられたといいます。しかも、畳業界には「価格の高い畳縁を使ったから畳の価格を上げる」という考えはなかったというのです。
「畳縁が素材として認知され、適正な価格で販売されるようになり、破棄するしかなかった余材を新たな素材に生まれ変わらせるには、どうしたらいいのか」。
その答えのひとつとして2014年にオープンさせたのが、畳縁のファクトリーショップ「FLAT」です。壁一面に多種多様な畳縁を展示した店内には、畳縁で作ったバッグや雑貨、ハンドメイド用の畳縁などが並び、ハンドメイドのヒントとなる書籍や自社製のレシピ集も置かれています。
「工場を見学したり、ワークショップに参加した直後に、畳縁やさまざまな商品を見たり、触れたりして、喜び、感動されるお客さまの姿は、社員に作り手としての矜持を与えてくれています。それは、次を生み出す原動力ともなり、もっと発信していきたいという意欲にもつながっているようです。さらに、私たちのこうした取り組みを見ることで、畳店の方たちが畳縁の価値を見直してくれるようになってきました」。
そう話す髙田社長は、「自然素材で作られ、表替えなどをすることで何十年も使える畳は、サステナブルな社会を目指す現在にふさわしい品。その耐久性を補完してもいる畳縁を自由に選んで、畳のある暮らしを楽しんでいただきたいですね」と笑顔を浮かべました。
畳縁が可愛い鮫のマスコットに変身!口の中にスマホやミニペットボトル等が入ります。カラビナが付いているので、バッグやベルトループ等に引っかけて持ち歩くことが可能です。
イ草より変色が少ない和紙の畳表を使用したミニ畳は、花瓶や置物の飾り台にぴったり。土産品としても人気です。インテリアとして使えば、和室がない住まいに和の雰囲気をもたらすことも。
バッグ作家がデザインしたトートバックや、社内で何度も試作して開発したマルシェバッグなどを作れるキット。レシピ付きです。
長さ1.5m以下の畳縁は、初めて畳縁の作品づくりに挑戦する人やワンポイントで使いたい人に好評。多種多様な中から好みの品を見つけてみては。
1892(明治25)年に真田紐を製造する「川本屋」として創業し、1950年に「髙田織物株式会社」を設立。以降、新たな畳縁を開発するとともに、さまざまな新技術を積極的に導入。1000種を超える畳縁のほか、畳縁の価値向上を目指して多様な商品を開発・発信している。