公開日2015/11/30
公開日2015/11/30
情緒ある町家の中には、貴重な宿泊体験ができるスポットがあります。
暮らすように過ごしてみてこそ見えてくる倉敷とは? その魅力をレポートします。
食材探しの旅はまだまだ続きます。瀬戸内の魚介の次は、新鮮な山の幸、倉敷産の調味料が手に入れば、お鍋の材料が揃います。さらに、管理人さんの提案で地元の人が集まり鍋パーティーの装いに。なにやら賑やかな夜になりそうです。
少し車を走らせたどり着いたのは、玉島の里山の幸を販売するJA岡山西の直売所「おなじみさん」。「晴れの国」とよばれるほどの穏やかな気候の中で、生産者の愛情がたっぷり注がれて育った旬の恵みが、目移りするほどずらりと並んでいます。鍋に使う野菜もほとんどここで揃ってしまいました。他にも、水島地区の特産品のレンコンやゴボウも献立に加えることに。食材探しの旅はまだまだ続きます。
食材探しの途中、ドライブで立ち寄ったのは酒津公園。ジョギングする人、犬の散歩をする人と、普段の倉敷の暮らしを感じられる憩いの場所です。クルマを停めて歩いていくと、立派な水門を発見しました。ここを流れる川は高梁川と言って、岡山の三大河川のひとつ。倉敷の生活用水や農業用水をカバーする豊かな水系です。公園内を流れる東西用水はこの高梁川から水を引いており、夏になると子どもたちの遊び場として多くの家族連れが訪れるのだとか。
倉敷が産業や農業などを発展させてきた背景に、この高梁川の豊かな水があります。豊穣の実りを育む命の源として、商業や流通を繁栄させた物流の大動脈として、人々の暮らしを支えてきた水のせせらぎに癒されながら、しばし休憩。最後に、鍋をぐんとおいしくしてくれる調味料を探しに、美観地区へ戻ります。
本日最後の目的地は、昨日散策をした美観地区の一角にある、全国・世界から集めた食のセレクトショップ「平翆軒(へいすいけん)」。店主・森田さんの目利きで選ばれた食材が所狭しと並ぶ人気店です。そこで、手土産でも人気の高い「倉敷鉱泉」の「塩ぽんず」を発見。塩田で栄えた瀬戸内海の海塩をベースに、高知や徳島の柑橘で味を整えたポン酢は、地元の人からも愛されている逸品です。実はここ倉敷は、味噌や醤油などの加工品も有名。豊かな風土と培ってきた醸造技術で作りだされるこだわりの調味料こそ、「地元の味」を作ってくれる名脇役。種類がいくつもあり迷いましたが、スタッフの方や森田さんのアドバイスもあって、今夜の鍋のお供がようやく決定。さらに森田さんが手がける蔵元「森田酒造」のお酒もゲット!鍋を一層おいしく引き立たせてくれるポン酢と倉敷の銘酒もそろい、大満足で帰路につきました。地元に伝わる食や商品からも「倉敷の暮らし」の魅力を発見し、作り手やそれを売る人々の熱い想いに触れられる貴重な体験ができました。
ドライブ中に見つけた食材と平翆軒で購入した調味料を持ちより、いよいよ海鮮鍋作りスタートです。それにしても、こんな贅沢な食材がすぐに手に入るなんて、地元の人が本当にうらやましい…。特に鍋の主役の魚介は、身がぷりっぷりで、ハリ・つやが見事!作っている途中から早くもお腹がすいてきました。
せっかくなので、今回、倉敷の魅力を教えてくれた御礼も込めて、管理人の山田さんにも声をかけてみました。すると「地元の人も呼んで鍋パーティをしましょう」という話で盛り上がり、急きょ、山田さんの友人たちが次々と町家へ。豪華な鍋に負けない、賑やかな会になりました。
しかもメンバーは、山田さんと同じく根っからの「倉敷好き」「倉敷通」ばかり。この町家ステイを通して見えてきた町の魅力や感想を話すと、みんな目をキラキラさせながら聞いてくれました。今日のドライブで見つけてきた食材の話、地元ならではのおすすめの食べ方などでも会話がはずみ、まるで昔からの友達のような、アットホームな会に。町家を通じた地元の人との交流も、よい思い出になりました。
この体験をする前までは気づかなかった、倉敷の魅力にたくさん触れるステイとなった数日間は、「本当にここで暮らすのもいいな」と思えるほど、充実したひと時となりました。