プラスチックを扱う企業として再生可能な未来を編み出す

Chapter2 プラスチックを扱う企業として
再生可能な未来を編み出す

もともと萩原工業は、倉敷の特産品「花ござ」の経糸(たていと)を作っていた会社でした。経糸を綿糸からプラスチックへ置き換えたり、そのための機械を自社で開発したりと様々なイノベーション(変革)を起こし、創業から約60年、今ではブルーシートを主軸とした多様なプラスチック加工品や、その技術を応用した産業機械を製造する企業へと成長を遂げました。

花ござ
ブルーシートの織目
和みシート
さまざまなシート

 同時に、プラスチックを扱うメーカーとしての責任を模索し続ける萩原工業。先ほど紹介したBRIDGE SETOUCHIもそのひとつです。他にも、耐久・耐候性を高め最大10年間も屋外で使える長寿命タイプのシートや、プラスチックで作られたコンクリート補強繊維「バルチップ」など、製品寿命を延ばすことで環境への負担を軽減する製品も開発・製造。再生プラスチックを50%以上用いたブルーシート、焼却処分時に発生するCO₂・メタンガスが少なくなるブルーシートなど、環境に配慮したブルーシートも手掛けています。

バルチップ
バルチップ

 さらなる持続可能な社会の実現に向けて、使用済みブルーシートを回収し、新たなブルーシートへとリサイクルする国内初のプロジェクト「Re VALUE+(リ バリュー プラス)」を2021年2月からスタートさせました。ブルーシートの原料は、ポリエチレンです。本来であればリサイクル可能な素材ですが、その多くが産業廃棄物として破棄されているのが現状です。一部は再生ペレットに姿を変えて再生利用されているものの、品質の問題からブルーシートの原料にはならず、品質低下を伴うカスケードリサイクルに回されています。ブルーシートのトップメーカーとして、自分たちが手掛けたブルーシートから発生する廃プラスチック問題を何とかして解決したい。その想いから始まったのが、今回のプロジェクトなのです。

再生ペレット
再生ブルーシート
再生ブルーシート
再生ブルーシート
再生ブルーシート

 Re VALUE+は、萩原工業が回収ネットワークを確立し、リサイクル技術を有するJ&T環境(株)とパートナー契約を結んで、ブルーシートが循環する仕組みを段階的に構築していくプロジェクトで、再生目標は年間5000トン。「ブルーシートからブルーシートへ」という国内初の試みは、すべてが手探り状態ですが、「創業者の口癖であり社風でもある “おもしれぇ、直ぐやってみゅう(おもしろい!すぐやってみよう)”の精神で、すぐに実行へと移しました」と浅野社長。廃棄される前に回収する仕組みづくりをどのように構築すべきか、まずはホームセンターでの回収イベントを実施。行動したからこそ見えてきた課題や学びもあったといいます。今後は企業・法人から出る使用済みブルーシートの回収にも対応し、さらに力を入れていくそうです。
 また使用済みのブルーシートをリサイクルするには、使用期間や使用環境による汚れ&劣化が大きな問題に。それを解消するための洗浄・乾燥技術、劣化した成分を補う調質・改質技術、不純物をろ過する技術の確立が必要不可欠。産学連携したり、パートナー企業を募ったりと、実現に向けての歩みを進めています。

回収イベント
回収イベント
回収イベント
浅野和志さん
工場の様子

 プラスチックごみ問題は、過剰包装や使い捨てなど、見直すべきことは多くありますが、「だからといって、今の暮らしからプラスチックをすべて排除することは厳しいと思います。生産ロスを新たな製品に再生させたり、ライフサイクルを延ばすことでCO₂削減につなげたり、リサイクルを推し進めたり。そういう循環や仕組みを作ることが、企業としての使命だと思うのです」。プラスチックを扱う企業として再生可能な未来を編み出す活動の広がりに、今後も目が離せません。

他にもこんな特集があります。

  • 特集17.茶の湯のまち玉島- 玉島茶室群研究会 –
  • 特集 Vol.2 倉敷ごはん、いただきます。
  • 特集 Vol.18 モノ作りの現場へ  TEORI

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