2007(平成19)年に三代目社長となった信太郎さんは、5年ほど前から新商品の開発も手がけるようになりました。なかでも強い思いを込めた商品が「PREMIUM COLA」です。
「飲料水はここ20年くらい縮小していて、ラムネだけになっていました。ところが10年ほど前に、福山の生姜加工業者からジンジャーエールを作ってほしいという話があったんです。サイダーの充填機は処分していたのですが、『中身のよい飲料水を作る倉敷鉱泉にお願いしたい』と言われ、3台の機械を買って、引き受けました。実は私自身も、いい飲料水をまた作りたいとずっと思っていたんです」。




するとその数年後、倉敷のレモン農家が「レモンを使った商品を作ってほしい」と訪ねてきたといいます。それは、ちょうどクラフトコーラが流行り始めた時期でした。コーラの作り方を知っていた信太郎さんは、「ソースにも使っている香辛料のノウハウと柑橘であるレモンがあれば、作れる」と確信。自分なりの原材料の組み合わせで再構築したのが、新たな味わいの「PREMIUM COLA」です。
「思うように作ったので、好き嫌いは分かれます。でも、世の中の流れにきちんと応えなければならない大手メーカーとは異なり、当社のような小規模の会社は、むしろ特殊な部分、偏りの部分を求められていると思っているので、思い込みを打ち出す方向でいいと考えています」。




さらに、「かつて倉敷の経済を支えていた紡績会社が名前を残しつつ変わっていったように、日々、アンテナを張って考え、行動していかなくては会社を存続できないと考えています。倉敷鉱泉の名前はそのままに、囚われることなく、時代が求めるものづくりを誠実にやりきりたいと思っています」。
信太郎さんの言葉は、古きよき町の趣を残しつつ、アップデートを重ねて進化し、深化する、倉敷と呼応しているかのようです。




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