公開日2020/04/1
公開日2020/04/1
児島駅から「児島ジーンズストリート(以下、ジーンズストリート)」を目指して歩いていくと、児島市民交流センターの西側にたたずむビルに大きなジーンズの看板を発見! 「KOJIMA JEANS STREET」の標識と、ショップなどを記した案内図もありました。
角を曲がってジーンズストリートに入った瞬間、まず目についたのは、赤耳付きのセルビッチデニムをイメージしてカラーリングされた道路。当初は濃い藍色だったそうですが、月日とともに色あせて、まるでヴィンテージジーンズのような色合いになっています。
ジーンズストリートが誕生したきっかけは、この地を訪れるジーニストや地域の人々の声だったそう。「せっかくジーンズの聖地に来たのに、買える場所がない」「シャッター街になりつつある通りを何とかしたい」…。そこで、地元のデニム生地やジーンズのメーカー、児島商工会議所、倉敷市、学校などのメンバーが「児島ジーンズストリート構想」を策定。通りに児島のジーンズメーカーを集結させることを目標に、2009年に3店舗でスタートさせました。
「ショップを開きたいという方はたくさんいるのですが、1階は空き店舗だけど2階に家主さんが住んでいるとか、はじめは知らない人に貸すのは気が進まないといった家主さんも少なくなく、新たな出店場所を確保するのが難しいのです」。そう話すのは、地域の人たちとのパイプを生かして、出店交渉にもあたる児島商工会議所の末佐俊治さん。地道に交渉を続けるとともに、さまざまな事業によってジーンズストリートの周知を続けるうち、地域の人や既存店の店主らの協力も得られるようになってきたそうです。そうして年々増えてきたショップは現在40店になり、訪れる人は年間20万人を数えます。
海外でも人気のブランドをはじめ、ダメージや染めの加工が高く評価されているメーカーの直営店、洗練された品々がそろうセレクトショップなど。通りにはたくさんのジーンズショップが並んでいて、すべて立ち寄っていたら時間がいくらあっても足りなさそう。そこで、気になる店をチェックしながら、ジーンズストリートをまず歩いてみることに。
十数軒のショップをチェックしつつデニムカラーの道路を進むと、南北に伸びる石畳の道に突き当たりました。そこは、おしゃれな新しいショップと昭和レトロな商店が混在する通り。ところどころで、頭上を横切るようにジーンズが吊るされています。青空を背景に風に吹かれるジーンズは、絶好の被写体。カメラやスマホを上空に向ける人も少なくありません。逆に、足元で見つけたのがジーンズストリートのオフィシャルロゴをデザインしたマンホールの蓋。全部で4カ所に設置されているそうです。
パンフレットによると、ジーンズストリートは「South Area」と「North Area」に分けられていて、その中間地点あたりには「ポケットパーク」と呼ばれる小さな公園があります。存在感を示すのは「KOJIMA JEANS STREET」の大きな文字。インディゴブルーの屋根の下にはベンチが設けられ、隣にはジーンズをトリックアート風に描いたポップな雰囲気のトイレもあります。「ポケットパーク」からジーンズストリートの北端までは、約400m。通りの両側にある15ほどのショップが並んでいます。
次に足を運んだのは、ジーンズストリートのほぼ中央に建ち、ストリートの情報発信基地とコミュニティステーションの役割を担う『RIVETS(リベッツ)』。ここでは青色のソフトクリーム「インディゴソフト」を注文してみました。手渡されたソフトクリームにトッピングされている緑色の粉は、食用の藍。食用とはいえ、藍を味わうのは初めて。何味だろうとおそるおそる食べてみると、意外にもさっぱりとした塩味。「児島の代表的な産業を表す、『児島三白』のひとつが塩であることに由来しているんです」と店のスタッフが教えてくれました。
思う存分ジーンズを堪能した後は、この地でしかできない体験を目指して移動します。