地域の魅力を醸成する 下津井シービレッジプロジェクト 地域の魅力を醸成する 下津井シービレッジプロジェクト

Chapter2 地域との連携を大切に、
多様なプロジェクトで下津井の魅力を発信

正田 中西家の取り壊し危機をきっかけに、2017年7月には倉敷市や地域NPO、地域住民、関係者が集まり、第1回目の合同会議を行いました。その会は何度か続きましたが、規模が大きい中西家再生への道のりは遠く、地域や行政を巻き込んでの活動はもちろんですがすぐには実りませんでした。まずは有志のみで活動を進め、2017年10月には地域おこし団体「下津井シービレッジプロジェクト」を発足。会議も定期的に行い、下津井活性化の話し合いを続けていました。

下津井を考える会議
下津井を考える会議
下津井シービレッジプロジェクト設立会議

最初は中西家を何とかしようと立ち上がった我々ですが、話し合いを重ねるうちに下津井が抱える問題に改めて直面しました。人口減少、空き家問題、環境破壊による漁業の衰退、人材育成、観光の底上げ・・・。全国の至る所で抱えている問題が下津井に山積していたんです。 正田 そこでまず行ったのが、何十年も空き家だった漁協事務所を下津井シービレッジプロジェクトの事務所として活用することでした。改修は「なんば建築工房」で手掛けたのですが、そこで感じたのが「うちの職人の技術や知識が、まちづくりに役立つのでは」という可能性でした。 現在、下津井シービレッジプロジェクトでは空き家・古民家再生を軸に、さまざまなプロジェクトを推進しています。マルシェなどの地域イベントをはじめ、移住者の誘致・相談、観光促進など、今では8つのプロジェクトを立ち上げ、多面的な地域活性に取り組んでいます。トップダウンではなく、どういったプロジェクトが地域によって効果的かをメンバーでディスカッションし、具体的なプロジェクトとして立ち上げているんです。また現在進行形のイベントやプロジェクトはSNSはもちろん、少しでも多くの人に届けようと、事務所前の案内板でも発信しています。

下津井シービレッジプロジェクト事務所
事務所前の案内板

矢吹 プロジェクトもだけど、仲間も増えたよねぇ。 ほんとそのとおり。下津井わかめを中心に海産物を扱う「吉又商店」は、下津井の食文化を次世代につなぎたいと独自のレシピ本も出版しました。2020年にはカフェ「下津井「蔵」珈琲 kula-n(クラン)」、2021年にはGジャンショップ「ダンジョデニム」がオープンし、いずれもオーナーは移住者で、店舗は空き家をリノベーションしたものです。

吉又商店1
吉又商店2
吉又商店3
下津井「蔵」珈琲 kula-n4
下津井「蔵」珈琲 kula-n5
  1. 123吉又商店
  2. 45下津井「蔵」珈琲 kula-n

事務所の一角には「洋菓子工房 エクラタン」が入店しました。ここ数年、個性豊かな店が続々とオープンし、まちに賑わいをもたらしています。学習塾を営む「さかのうえの学習塾」の塾長も移住者で、国際結婚されていてね。保存地区の空き地を活用した「下津井国際マルシェ まだかな夜市」を主催しています。彼らを含め今では約30名の仲間が下津井シービレッジプロジェクトに参加。それぞれの得意分野を生かしながら、一緒に下津井を盛り上げています。

洋菓子工房 エクラタン6
下津井国際マルシェ まだかな夜市7
下津井国際マルシェ まだかな夜市8
  1. 6洋菓子工房 エクラタン
  2. 78下津井国際マルシェ まだかな夜市

矢吹 下津井シービレッジプロジェクトは地域の中核となる施設があってスタートした団体ではありません。加えて、我々3人は下津井の人間でもありません。そういう状況下で地域おこしを始めるときに大切なのは、人の思いの強さであり、地元の人との連携だと思うんです。地元を第一に考え、その中で僕らも生きていくような手段を考えることが大切なんです。 その思いを明確化したものが、「地域を元気にし誇りの持てる街にする」「次世代を担う人材の育成をする」「地域でお金が回るシステムを作る」「観光振興や移住促進に取り組む」、この4つの経営理念です。持続可能な町おこしをするためには会社設立が必要だと感じ、「しもついシービレッジ株式会社」を2019年6月に設立。この経営理念はその時に作ったものです。「これが少しでもずれたら、やる意味はないでしょ」という意味を込めて、今も定期的に唱和しています。

事務所前
4つの経営理念

正田 町おこしの協議会と事務所を作り、さらには会社も設立して。まだまだ地域おこしの道のりは長いですが、本気で取り組んでいます。

他にもこんな特集があります。

  • 特集 vol.52 クラシキの古民家ワークスペース
  • vol26_01高架下ナイトマルシェ – 臨鉄ガーデン –
  • 特集 Vol.3 1.倉敷人に聞いてみた

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